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千葉地方裁判所 平成10年(わ)324号

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官湯澤昌己出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社吉岡自動車商会を罰金一〇〇〇万円に、被告人吉岡睦弘を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人吉岡睦弘に対し、この裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社吉岡自動車商会(以下「被告会社」という。)は、千葉県野田市山崎一一八二番地の八に本店を置き、自動車の販売、修理等を目的とする資本金七〇〇万円の有限会社であり、被告人吉岡睦弘(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成四年九月一日から同五年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三六三一万三一四三円であったにもかかわらず、同年一〇月二八日、千葉県柏市あけぼの二丁目一番三〇号所在の柏税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四〇万〇〇四六円でこれに対する法人税額が一一万二〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一二八五万七三〇〇円と右申告税額との差額一二七四万五三〇〇円を免れ、

第二  平成五年九月一日から同六年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三七二一万三五四四円であったにもかかわらず、同年一〇月二七日、前記柏税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九万九〇〇〇円でこれに対する法人税額が五万五七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一三一九万四八〇〇円と右申告税額との差額一三一三万九一〇〇円を免れ、

第三  平成六年九月一日から同七年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が四〇一四万二四〇二円であったにもかかわらず、同年一〇月二六日、前記柏税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が一六七万四八四〇円で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一四二九万三二〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)(括弧内の甲乙及びこれに続く番号は、証拠等関係カードの検察官請求証拠番号を示す。)

判示事実全部について

一  被告人吉岡睦弘及び被告人有限会社吉岡自動車商会代表者吉岡秀夫の当公判廷における各供述

一  被告人吉岡睦弘の検察官に対する供述調書(乙二)

一  被告人吉岡睦弘の大蔵事務官に対する質問てん末書(乙一)

一  関田礼子の検察官に対する供述調書(甲六)

一  大蔵事務官作成の修理収入調査書(甲七)、車売上調査書(甲八)、期首棚卸高調査書(甲九)、商品仕入高調査書(甲一〇)、車仕入調査書(甲一一)、期末棚卸高調査書(甲一二)、役員報酬調査書(甲一三)、役員賞与調査書(甲一四)、給料手当調査書(甲一五)、減価償却費調査書(甲一六)、租税公課調査書(甲一七)、保険料調査書(甲一八)、諸会費調査書(甲一九)、支払手数料調査書(甲二〇)、受取利息調査書(甲二一)、雑収入調査書(甲二二)、役員賞与損金不算入額調査書(甲二三)、交際費等損金不算入額調査書(甲二四)、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書(甲二五)、事業税認定損調査書(甲二六)

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲五)

一  千葉地方法務局野田出張所登記官作成の商業登記簿謄本(甲一)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲二)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲三)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲四)

(法令の適用)

被告会社及び被告人の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項(被告会社についてはさらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状により、同法一五九条二項を適用し、被告人については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段(平成七年法律第九一号附則二条二項前段)の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金一〇〇〇万円に、被告人については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年にそれぞれ処し、被告人に対して同法二五条一項を適用してこの裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文により、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

(量刑の事情)

本件は、自動車販売、修理等を目的とする被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していた被告人が、被告会社の業務に関し、不正に法人税を免れるため、売上を除外するなどの方法により所得を隠した上、所轄税務署長に対し虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告会社の平成四年九月から平成七年八月までの三期分の事業年度の正規の法人税合計四〇三四万五三〇〇円のうち約九九・五八パーセントにあたる四〇一七万七六〇〇円を免れたという事案である。

被告会社が免れた法人税額は右のとおり多額であり、ほ脱率も高率であって、その結果は重大であり、国家財政制度にも悪影響を及ぼす悪質な犯行である。その犯行態様も発覚を防ぐため、二重帳簿を作成したり、売上だけでなくそれに対応する経費も除外するなど、大胆かつ巧妙であり、加えて、被告人の供述によると、平成元年に被告会社が設立される以前から、本件と同様の手口により脱税を繰り返して、多額な不正所得を隠匿してきていたことがうかがわれ、本件の常習性は極めて顕著である。

したがって、以上によれば、本件の被告会社及び被告人の刑責は重大であるといわざるを得ない。

一方、被告人は、本件が国税庁に発覚した後は、事実を素直に認めて捜査に協力し、本件において、脱税した法人税につき修正申告し、被告会社が納付すべき法人税、重加算税等もすべて納付済みとなっていること、被告人は、本件を深く反省し、すでに被告会社の代表を辞任しており、被告会社の経理体制の改善も図られていること、本件がマスコミによって報道された結果、被告会社及び被告人は一定の社会的制裁を受けていると認められることなど酌むべき事情があるので、これらの事情を総合考慮の上、主文掲記の刑に処するのを相当と認めた。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑・被告会社罰金一二〇〇万円、被告人懲役一年)

(裁判官 山田敏彦)

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